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「路上 On the Road」 東京国立近代美術館常設ギャラリー4

東京国立近代美術館の常設での展示「路上」(ギャラリー4)。毎回学芸員によるコレクションを用いたユニークな展示が好評なギャラリー4での展示だが、今回は蔵屋美香さんによる「路上 On the Road」という企画。期待に違わずとても面白かった。

路上のエッセンスとも言える「長い距離の移動と長い時間の経過」をいかにしてアーティストが作品の矩形のフレームに収めてきたか、ということがテーマとなっていて、それを様々な形で行った作品が展示されている。一点透視法を用いて道の長さ・奥行を表した東山魁夷の「道」や岸田劉生の「道路と土手と塀」から始まり、野村仁の「道路上の日時」や荒川修作「アルファベットの皮膚 No.3」、そしてラウシェンバーグの「ポテト・バッズ」、奈良原一高の「ブロードウェイ」シリーズといった多彩な作品が展示されている。今回一番の売りというか注目点は約7.5mのエド・ルシェー「サンセット・ストリップ沿いのすべての建物」(1966)と約4.5mの木村荘八「アルバム・銀座八丁」(1954)を特製展示台に世界で初めて並べて展示したことだろう。時間を隔ててほぼ同じ試みを互いを知らずに行っていたということが興味深いし、隣に並べて観るとさらに面白さが増す。(まあ、本の形式になっているわけだから、本当はできれば手に取って眺めたいところではあるけれど。)

美術作品においていかにして時間ー無時間性も含めてーを捉えるのかということは最も大きな問題のひとつであって、今回の展示では「路上」というテーマを通して様々な時間を孕み持つ作品が展示されているのが魅力的である。(距離もまた踏破されるべき時間であるとするなら、今回の展示はまさに時間をめぐるものだと言えるだろう。) 一点透視法によって表象される奥行きとしての時間(東山魁夷、岸田劉生)、路上にチョークで時刻が記されているのを捉えた写真の連なり(野村仁)、ある通りを縮小した形ながらそのまま(とは必ずしも言えないけど)撮影して横に繋げた写真(エド・ルシェー、木村荘八)、直接キャンバスにタイヤ痕をインデックスとして印し踏破された距離を現物大で示した絵画(荒川修作)など。改めて美術における時間の問題について考えされる良い機会となった。

さらに、ただ作品が並べられているだけでなく、丁寧な解説パネルが作品の傍に掲示されているので展示意図が明確に伝わってきた。特に印象に残った展示は荒川修作「アルファベットの皮膚 No.3」、ラウシェンバーグ「ポテト・バッズ」、ルシェー「サンセット・ストリップ~」という辺り。荒川やラウシェンバーグの作品が、水平な路上にあるもの(タイヤ痕や落ちていたダンボール箱)を90度回転させて垂直な壁に設置したものだとするなら、ルシェーの「サンセット・ストリップ~」は垂直に立っていたものを写真という形で逆に90度回転させて水平な台に置いたもの。その二方向の回転をつなぐかのように垂直の壁と水平な床両方に写真が貼られた野村仁の「道路上の日時」がある。

毎回恒例の無料配布の小冊子は今回もとても凝っていて面白い。実物を見るとわかるが、この展示ならではのデザインで、必然性のある形。普段は担当学芸員の方が小冊子に文章を執筆する場合が多いが、今回は担当学芸員の蔵屋美香さんだけでなく上崎千氏の文章も掲載されていて、いつもより読み応えのあるものとなっている。二つの文章のレイアウト自体もこだわりのあるもので、展示作品と呼応する形になっており興味深い。
 
「路上」展は東京国立近代美術館常設2階のギャラリー4で7月31日まで。パウル・クレー展の際にどうぞ。
http://www.momat.go.jp/Honkan/On_the_Road/index.html
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